ドロドロ、キラキラ、東京。
東京。
押し寄せる人。人ゴミ。ゴミ。
混沌を孕みながら、津波のようにどっと押し寄せ、街を飲み込んでは引いていく。
人の津波の中で、
皆が違うところを目指し、違うものをみる。
皆が同じところを目指し、同じものをみる。
目をギラつかせて獲物を探す、マルキュー前の若者。自分の席を確保しようと走る埼京線の初老女性。牛の脳みそや睾丸まで貪るホルモン屋のリーマン。何かに取り憑かれたかのようにショーケースを眺める、アキバの中年。
それは今まで、嫌いだと思いたかったもの。
だけどなんだか、嫌いになれないもの。
必死に、這いつくばって、しがみついて、死にたい死にたいと叫びながらも、それでも生きている。
欲望がひしめく場所には生の活力があって、人の熱が感じられる。
その熱が熱すぎて、逃げ出したいと嫌気が差すときもあるけれど
その熱で温まりたくて、触れていたいとどこか寂しさを抱いている自分もいる。
人の欲深さは、魅力的で汚くて、なんて美しいのだろう。
東京はそんなドロドロが塊となって、汚さで輝いているのだ。